" /> 小説学校犬タロー物語7、タローと花子の7年間 | 小説学校犬タロー物語

小説学校犬タロー物語7、タローと花子の7年間

自由犬としてのタロー

1986年に家出したタローは1993年までの7年間、作業小屋で寝泊まりし、花子の家そして女子高校の支援を受けながら自由犬として暮らしました。

多くの支援者を獲得して安全と食料の心配がなく、人間社会と良好な関係を築いて暮らしたので野良犬とは呼ばず、自由犬と呼ぶことにします。食料と安全を確保し、花子と女子高校生からの愛情をいっぱいに受けたタローは愛想がよくて社交的、活動的な性格を失わずにすんだのです。

女子高校訪問中のタローと花子のカップル、1989年

若くて元気いっぱいのタローが最愛の花子と暮らしたこの7年間はタローの第一次黄金時代と言えます。そして、人生後半期の第二次黄金時代を築くための能力,資質を育成する時代であったのです。どのような能力、資質を磨いたかを箇条書きにあげてみます。

タローはどのようにして自由犬なるための資質、能力を磨いたか?

①普通の飼い犬なら今日の一日は昨日と同じで、明日もまた同じ一日になるでしょう

タローの場合は違います。日々新たな事柄に接して、これに対して適切な行動をとらないと生存が危うくなることもあるでしょう。

新しい事態に接したなら過去の体験を整理し、適切な行動をとるという場面は多数あったのです。

例えば、縄張りに侵入した犬を撃退すること、花子にプロポーズしてきた犬と戦うこと、新たな支援者食料供給者を獲得することなどです。交通事故対策も必要です。もう一つ、一番重要なことがあります。人間社会と友好、親密関係を築き、人々に安全な犬と思ってもらわないと、生存が危うくなります。

②子犬時代に小学校に通い、小学生と遊んで身につけた能力、資質をさらに磨いた。

工場の飼い犬であった時、毎日、小学校へ遊びに行き、多くの時間を過ごしました。

小学生の中には乱暴な子供も、やさしい子供もいます.動物好きの子も、嫌いな子もをいます。タローはそれぞれの子供に対して適切な対応をとる必要に迫られたことでしょう。

また、子供は遊びの天才です。次々に子供たち考えだす新しい遊びにタローは加わったり,見たりすることで知的能力を発達させて行ったと考えて間違いないでしょう。

この子犬時代の経験が、自由犬になった時、生かされて行ったのです。

また、多くの小学生から愛され、多数の人々を受け入れる資質も磨いていったのです。

③人間及び人間社会と最も深いところで関わっている動物は犬です。タローは犬が持っている特質を最大限に伸ばしていった稀有な犬であるといえます。

 犬と類人猿との違い

脳の発達度、容量で言えば人類に最も近いのは類人猿です。しかし人間及び人間社会と最も深くかかわっているのは犬です。

あなたの周りに犬たちを注意深く見てください。犬たちは細心の注意を払って人間及び人間社会を観察しています。

人間に最も近い類人猿でさえ。この点では犬にかないません。

犬たちは約1万5千年におよぶ人間との付き合いの中で,人間と共に生きるための資質、能力を磨いてきたのです。これら犬族の中で特に優れた資質、能力を磨いた稀有な犬がタローであったのです.

花子、死す タローは花子に出会い、幸福な7年間を過ごすことができたのです。しかし、花子の病死によって幸福な7年間は突然、終わってしまったのです。 タローはこれから、どのようにして生きて行くのでしょうか?花子と女子高校との出会いのような幸運を、また引き寄せることができるのでしょうか?

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